股関節の痛み

股関節の痛みとは

主な症状は、関節の痛みと機能障害です。股関節は鼠径部(脚の付け根)にあるので、最初は立ち上がりや歩き始めに脚の付け根に痛みを感じます。関節症が進行すると、その痛みが強くなり、場合によっては常に痛みがあったり、夜寝ていても痛むことに悩まされたりすることになります。一方、日常生活では、足の爪切りがやりにくくなったり、靴下が履きにくくなったり、和式トイレ使用や正座が困難になったりします。また、長い時間立ったり歩いたりすることが辛くなりますので、台所仕事などの家事に支障を来たします。階段や車・バスの乗り降りも手すりが必要になります。

股関節の痛みの主な原因

多くは女性ですが、原因は発育性股関節形成不全の後遺症や股関節の形成不全といった子供の時の病気や発育障害の後遺症が主といわれ、股関節症全体の80%といわれています。近年は高齢社会となったため、特に明らかな原因となる病気に罹ったことが無くても年齢とともに股関節症を発症してくることがあります

自宅でできる簡単ストレッチ

1.ストレッチポール

2.肩甲骨ストレッチ

3.貧乏ゆすり

股関節の痛みを未然に防ぐ方法

股関節の痛みを未然に防ぐ一番の方法は減量です。特に、内臓脂肪や異所性脂肪を減らすことが重要です。内臓脂肪は全身に炎症を起こすインターロイキン6という物質を激しく分泌させる働きをもっております(Fontana et al , 2007)。異所性脂肪は本来ほとんど脂肪が存在しない組織に過剰に存在している脂肪のことを指します。異所性脂肪が存在する臓器は主に膵臓、筋肉、肝臓、心臓であり、皮下脂肪や内臓脂肪が一定レベルを超えると、余ったエネルギーが異所性脂肪として蓄積され、痛みだけでなく、メタボリックシンドロームや糖尿病、動脈硬化等の病態に関わってくる事になります。内臓脂肪や異所性脂肪はアルコールや砂糖を控えて頂くことで、比較的落としやすい脂肪です。一方、皮下脂肪は皮膚の下につく脂肪で、見た目は良くありませんが、体へのダメージは少なめです。レプチンやアディポネクチンのように食欲と代謝をコントロールするホルモンを分泌する働きもあるので、皮下脂肪を減らしすぎても身体に悪影響が出てきますのでご注意ください。皮下脂肪のベストラインは、男性が10~15%、女性だと22%前後ぐらいです。

股関節の痛みの意外な原因

腹斜筋という脇腹の筋肉が硬くなることで、足の付け根の部分に痛みが生じることがあります。また、腎臓の機能が落ちることで、股関節周囲~腰までが痛くなることもあります。

症例紹介

右の股関節の前の部分が痛くて、階段や歩行に支障をきたしていた60代女性のAさん。最近は股関節を伸ばすことがつらく、睡眠時に仰向けで眠ることができなく、十分な睡眠ができていないことも悩みでした。腹筋~股関節前面の筋肉をほぐし、背骨の柔軟性を回復させることによって、股関節の痛みは7割ほど緩和されました。ただ、階段の昇り降りの時にはまだ痛みが残っており、生活に不自由さを感じておられました。身体全体をチェックさせて頂くと、左の側頭部に大きな筋肉のコリが残っており、その筋肉のコリが全身の緊張を高めていることが分かりました。側頭部の筋肉のコリをほぐすことによって、階段の昇り降りの際の痛みも緩和され、以前からお孫さんと約束されていた釣りに行くこともできるようになり、外出が非常に楽しみになったようです。

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