肩こり

肩こりとは

肩こりは2019年の国民生活基礎調査から、肩こりを自覚症状として持つ人が多く、男性では第二位、女性では第一位となっています。また、2018年の産業医科大学の研究によると、国内勤労者の労働生産性を低下させる3大要因の第1位が「肩こり」と言われています。肩こりは、デスクワークなど、長時間の同じ姿勢や運動不足、筋肉の衰えなどが原因で起こるというのが一般論です。しかし、肩こりの原因はそれだけではなく、2022年の研究によれば、睡眠不足や睡眠の質の低下や偏った食事の影響が大きいことが報告されています。また、ストレスが肩こりに与える影響が大きいということも、最近の研究で分かってきました。また、割合としては少ないですが、整形外科疾患に伴う肩こりや整形外科疾患以外が原因で生じる肩こりもあります。そういった肩こりの場合はたいてい肩こり以外に手の痺れや痛み、息苦しさなど、別の症状を伴いますので、医療機関を受診する目安になるかと思います。

肩こりの種類

整形外科疾患に伴う肩こり

  1. 頚椎椎間板ヘルニア
  2. 後縦靭帯骨化症
  3. 胸郭出口症候群
  4. 頚肩腕症候群
  5. 肩関節周囲炎

整形外科以外の疾患に伴う肩こり

  1. 虚血性心疾患:狭心性、心筋梗塞
  2. 更年期障害
  3. うつ病
  4. 眼精疲労
  5. 咬合不全

肩こりの主な原因

首や背中が緊張するような姿勢での作業、姿勢の良くない人(猫背・前かがみ)、運動不足、精神的なストレス、なで肩、連続して長時間同じ姿勢をとること、ショルダーバッグ、冷房などが原因になります。

自宅でできる簡単ストレッチ

1.胸を伸ばす

  1. 手を後ろで組みます
  2. 肩甲骨を内側へ寄せます
  3. 肘を伸ばします
  4. 胸を張って20秒ほど伸ばします

2.背伸びをする

  1. 手を組んで背伸びをします
  2. 手のひらをできるだけ遠くに伸ばすようにします
  3. 手の指も全てできるだけ伸ばします

3.目を温める

  1. 眼精疲労からくる肩こりは目を温めると効果的です
  2. 電子レンジで絞ったタオルを1分ほどチンします
  3. 5分以上目に置きます

肩こりを未然に防ぐ方法

日常生活でできること

生活習慣や姿勢を改善する

  1. 30分~60分に1回は同じ姿勢をやめる
  2. 立ち上がって5分ウロウロする
  3. 立ち上がってトイレに行く
  4. 椅子にもたれて胸~手のひらまでのストレッチをする
  5. 椅子に座ったままで脇腹を伸ばす
  6. 立ち上がって踵を上げたり下げたりする
  7. 足の裏をほぐす
  8. 目を画面から離し、お昼休憩や寝る前には目を温めたり、マッサージをする

机やモニター画面の位置を適切に

  1. 肘は90度以上曲げることができる机の高さ
  2. 机の高さは60~72㎝で調節できるものが望ましい
  3. 椅子は37~43㎝で調節できるものが望ましい
  4. 足裏全体が床に接地する
  5. 腕は机か椅子の肘置き沖で支える
  6. モニター画面は水平線よりやや下
  7. 肩が自然に降りた状態、肘90度以上曲げた状態でキーボードに自然に手が届く

その他

週150分以上の身体活動を確保する。散歩、買い物、掃除、自転車をこぐ以上の強度であれば全て身体活動に含めてよい

睡眠対策

  1. 6時間以上8.5時間未満で、日中眠気がない自分に合った睡眠時間を確保する
  2. 平日1時間以上睡眠時間が短くなった場合は、30分以内の昼寝を14時までに行う方がよい
  3. 夕食は睡眠3時間前までにすます
  4. 就寝1~2時間前ぐらいに入浴する
  5. 入浴後はスマートフォン、テレビ、パソコンを見ない
  6. 布団にスマートフォンは持ち込まない

食事対策

  1. お菓子やジュース、フライドポテトや唐揚げ、菓子パンなどの超加工食品は週2回までに控える
  2. 野菜は両手の手のひらにのるぐらい、果物は握りこぶし1個分毎日食べる
  3. コーヒーや緑茶は身体の炎症を和らげてくれるため、起床後60分以降から15時まではコップ1~3杯は飲んだ方がよい
  4. 水分をこまめに1~1.5ℓは摂取する

ストレス対策

  1. 深呼吸を30分に1回行う。吸った息の倍以上吐くような深呼吸が良い。
  2. お昼休憩は公園などで休憩する。
  3. 休日は自然に出かける。
  4. 信頼できる人に悩みを相談する。

症例紹介

肩こりは一生つきあうものと思っていた64歳女性Hさん。普段の仕事に加え、家事もほぼ1人で行っているため、肩こりは仕方のないことだと諦めておられました。ただ、仕事においては頻繁に移動があり、家事を一人で行っているのであれば、運動量としては問題がなく、運動不足による肩こりが生じる可能性は低い状況でした。病気を予防するために、バランスよい食生活を心がけ、睡眠時間も十分に確保されているので、肩こりはあくまで症状を感じている場所であって、頚や肩に原因はありませんでした。Hさんは学生時代にテニス部に在籍しており、試合中に右足首を捻挫したそうです。捻挫以降、右足首に体重がかからないように頭を左に傾ける癖が無意識についており、左の首から肩が凝るようになっていました。これらが長年経過して、左の頚~肩をかばうようになり、右の頚~肩も凝りだしたと考えられます。よって、Hさんには右足首の外くるぶしにできた筋肉のコリを緩めることによって、頚から肩のこりが緩和されていきました。

まとめ

以上のように、症状と原因は別の場合が多く、生活習慣の影響も受けます。本当の原因を見つけることができなければ、中々頑固な肩こりは改善されません。本当の原因を見つけて、充実した毎日を取り戻したい方は是非当院にご相談下さい。

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