膝の痛みとは
男女比は1:4で女性に多くみられ、高齢者になるほど罹患率は高くなります。主な症状は膝の痛みと水がたまることです。
初期では立ち上がり、歩きはじめなど動作の開始時のみに痛み、休めば痛みがとれますが、正座や階段の昇降が困難となり(中期)、末期になると、安静時にも痛みがとれず、変形が目立ち、膝がピンと伸びず歩行が困難になります。
症状が重度になると手術が適応されますが、変形性膝関節症と診断を受けていても、約7割の方は痛みが出ていない、という報告もあります(Muraki et al , 2009)
膝の痛みの主な原因
原因は関節軟骨の老化によることが多く、肥満や遺伝子も関与しています。また骨折、靱帯や半月板損傷などの外傷、化膿性関節炎などの感染の後遺症として発症することがあります。
また、精神的な影響をうけると言われており、うつ状態と膝の痛みは関連があると言われています(Shimura et al , 2017)
自宅でできる簡単ストレッチ
1.お皿ストレッチ
- 膝のお皿を親指と人差し指で掴みます
- 膝のお皿を上下左右方向や斜め方向にそれぞれ10回ずつ動かします
- 可能な方はお皿を掴んだまま時計回り、反時計回りにそれぞれ3回ずつ回してみましょう
2.股関節ストレッチ
- 横向きもしくは立った状態で足首を持ちます
- 踵をお尻につけるようにしてみて下さい
- 太ももの前や付け根が伸びている感じがあればOKです
- 20秒ほど伸ばします
3.足関節ストレッチ
- 裸足になります
- 手の指を足の指の間に入れます
- 足首をもって時計回りに10回、反時計回りに10回回します
膝痛を未然に防ぐ方法
生活習慣病の予防、特に減量が有効です。メタボリックシンドロームの病態とされる過体重,高血圧,脂質異常症、糖代謝異常はいずれも変形性膝関節症との関連性が指摘され、合併数が増加するにつれて発症・進行の危険度が増すと言われています(Golightly et al , 2011)
ビタミンB群やC、Kを摂取する(Muraki et al , 2014)。よって、果物や野菜、肉、納豆が推奨されます。
膝の痛みが悪化する意外?な原因
食事のバランスが崩れる:ビタミンB群やC、Kが不足すると膝痛が起きやすくなるため注意が必要です。
慢性的なストレスにより気分が落ち込むと、膝に痛みを感じやすいので、日頃からストレス発散には気をつけましょう。
症例紹介
20年以上前から歩行時の膝の痛みに悩んでいた68歳女性のOさん。近隣の整形クリニックで膝周りの筋肉をしっかりと鍛えるように言われたが、中々続かない状態で困っていらっしゃいました。また、足底板やテーピングなど色々試してみるものの、思うような成果が得られず悩んでいらっしゃいました。事前問診表でアキレス腱の手術を20年ほど前に両足共に実施されていたことが分かっていました。また、事前問診表から食生活や睡眠時間、活動量は全く問題が無かった方なので、アキレス腱が手術後十分なケアができておらず、アキレス腱が硬くなってしまったことが原因で膝の負担が生じていると考えられました。アキレス腱をしっかりと緩め、日頃からストレッチしてもらうことによって、今は自由に外出を楽しむことができているようです。