バランス機能低下とは
動作における安定性の程度をバランスとよび、動作自立の要件の1つに動作の安定性、すなわちバランスがあります。動作が安定して実行できることによって、生活における安全性(転倒しないこと)や効率性(正確な動作を素早く実行できること)が保証されています。
高齢者や難病を患った方ではバランス障害が高頻度に生じることが分かっており、バランス障害によって転倒や骨折が高齢者の病因や死因の主たる原因になっていると報告されています。
バランス機能低下の主な原因
1.平衡機能の低下
2.運動能力の低下
3.感覚機能の低下
4.認知機能の低下
5.環境:路面の状態や障害物、明暗など
自宅でできる簡単ストレッチ
1.目の体操
2.腹筋ストレッチ
3.足首ぐるぐるストレッチ
バランス機能低下を未然に防ぐ方法
1.整地されていない自然環境に出かける
2.座る時間を1日4時間以内にする
3.ラジオ体操など、身体を大きく動かす
バランス機能低下の意外な原因
腰痛があると実は小脳がうまく機能しません。小脳が十分に機能しないことによって、バランス機能が悪化することが分かっています。小脳が十分に機能しないと、残念ながら同時に指の巧緻性(器用さ)も低下します。
症例紹介
パーキンソン病を患って10年経過した60代男性のBさん。歩き始めや方向転換時に足が止まってしまい、転倒を繰り返しておられました。Bさんのバランス機能低下はご自身の身体の大きさを脳が十分に把握できていないことが大きな原因でした。まずは目を閉じた状態でタオルを肩幅に持ってもらうように依頼しました。Bさんは実際の肩幅よりも大きくタオルを握りました。目を開けてもらい、実際の肩幅の大きさで持ってもらうと、こんなに肩幅が小さいのかと驚かれていました。ご自身が考える肩幅と実際の肩幅の大きさを一致させる練習を何度かすることによって、歩き始めや方向転換で足が止まることが減り、同時に転棟することがなくなっていきました。