性欲減退

性欲減退とは

性欲減退とは性欲が減少することです。考えられる原因には、心理的要因(抑うつ、不安、人間関係の問題など)、内服薬、テストステロンの血中濃度が低いことなどがあります。原因に応じて、心理カウンセリングや内服薬の変更、テストステロン補充療法を検討します。筋肉の発達に必要なホルモンとして有名なテストステロンですが、テストステロンが不足すると、①糖尿病や心疾患のリスクが高まる、②活力が衰える、③うつ病にかかりやすくなる、④慢性疲労が起きる、⑤体脂肪が増えやすくなる、といった悪影響がありまして、日々の幸福度を決める要素の一つと考えております。

性欲減退の主な原因

  1. 肥満(Mogri et al , 2013)
  2. カロリー制限(Rossow et al , 2013)
  3. ストレス(Anita & Matthew , 2007)
  4. 1日2杯以上のアルコール(Sierksma et al , 2006)

自宅でできる簡単ケア

  1. プチ断食(Chennaoui et al , 2009):イスラム教徒のラマダンを調べた2009年の研究。ラマダンの期間は日中に何も食べないのですが、ホルモン分泌に悪影響をあたえなかったどころか、逆にテストステロンの量が増えたと報告されています。
  2. コーヒーを飲む(Beaven et al , 2008):1日240㎎のカフェインで、14%ほどテストステロンが上がるようなので、起床後60分~15時までの間で1~4杯のコーヒーを飲むとよいと思います。
  3. アシュワガンダを飲む(Azgomi et al , 2018)。アシュワガンダは主にインドとかネパールで育つ植物で、昔からストレス解消なんかに使われてきたアダプトゲンの一種で、抗酸化作用や抗不安作用、テストステロン増加などのメリットが指摘されております。
  4. 階段の昇り降り(Kumagai et al , 2015):特別にハードな筋トレをしなくても、階段の昇り降りを1分間全力で行う、というレベルでもテストステロンは増えると報告されております。

自宅でできる簡単ストレッチ

1.四股ストレッチ

2.サイドランジ

3.合掌ストレッチ

性欲減退を未然に防ぐ方法

  1. 体脂肪率が男性は10~15%、女性は22%前後でキープすることが望ましいです(Camacho et al , 2013)。
  2. プチ断食によってテストステロンが増えることが分かっています(Chennaoui et al , 2009)。

性欲減退に対する間違った対応

  1. 水分不足(McGregor et al , 1999):体内の水分が1〜2%足りないだけでもストレスホルモンは急増するため、1~1.5ℓ/日をこまめに水分摂取されることをおススメしております。
  2. 糖質制限(Lane et al , 2009):糖質制限をするとストレスホルモンが増えてしまい、結果的にテストステロンが減ってしまいます。
  3. 内服薬:うつ病、不安症、前立腺がん治療に用いられる薬など)は、テストステロンの血中濃度を下げ性欲も減退させる可能性があります。

症例紹介

子供を授かりたいと強く願う40代男性のOさん。某産婦人科にて検査してもらった結果、精子の数や奥様に問題はなかったようです。子供が欲しいという思いは強いものの、奥様との性交回数は十分に行うことができず、悩まれて当院へご連絡を頂きました。生活の様子を伺うと、お勤めの会社ではハードな残業が当たり前で、睡眠不足や運動不足はもちろんのこと、バランスの悪い食生活を送ることが普通になっておられました。結果的に、体脂肪率は25%で中等度肥満の状態でした。睡眠不足、運動不足、バランスの悪い食生活を一気に修正することは難しかったので、まずは会社内の移動や通勤では階段を使用して頂くことから始めましたが、階段を使用すると息切れや疲労感が蓄積してしまい、習慣化は困難でした。奥様にも相談した結果、お昼と夕食は奥様の手作り弁当に変更し、会社での間食は果物とナッツに限定しました。その結果、1ヶ月で体重が3㎏減り、身体が軽くなったことで、会社内の移動や通勤に階段を使用してもらいました。また、睡眠不足を補うために、会社内で30分間光や音を遮断して昼寝に取り組んで頂きました。3ヶ月すると体重が6㎏減り、体脂肪率も19%まで減ってきました。その結果、性交回数が月に1度程度だったのが、週に1~2回となり、1年後には無事奥様の妊娠が判明しました。奥様の妊娠が判明してからは、生まれてくる子供さんとの時間をできるだけ大切にしたいと考え、転職をきっかけに健康的な生活をより意識されるようになったそうです。

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