手足の痺れ

手足の痺れとは

手指・足指のしびれを生じる病気は数多くあります。痺れで悩んでいる人は10万人あたり2,400人と決して多いとは言えませんが、痛みを伴うなど、生活の質を大きく下げる原因となります。原因がはっきりわかるしびれもありますし、寒い風に当たっただけで「しびれた感じ」を感じるような原因がはっきりしないしびれもあります。

手足の痺れの主な原因

一時的な痺れ

朝起きたとき、からだの下になっていた手がしびれたことなどを経験したことがあると思いますが、すぐに治ってしまう場合は、血行が一時的に悪くなったためのしびれで心配ありません。これは正座をした後と同じです。ただし、手根管症候群では、朝方に眼がさめたときにしびれや痛みが強くなりますので注意が必要です。手の指を動かすと軽くなるのが特徴です。

内科的原因のしびれ

内科的な原因としては糖尿病やアルコール性のしびれがあります。これは末梢神経が病気によって障害されて生じています。ビタミンBの欠乏などでも生じますし(現代では非常に少ない)、お薬の副作用でしびれが出る場合もあります。

脊椎に関連するしびれ

脊髄の圧迫によるしびれもありますし(脊髄症)、馬尾神経や神経根の圧迫によるしびれもあります。病名では、頚椎症性脊髄症、頚椎症性神経根症、腰部脊柱管狭窄症、腰椎変性すべり症、腰椎分離すべり症、頚椎・腰椎椎間板ヘルニアなど多くの脊椎疾患で「しびれ」が生じます。

末梢神経に関連するしびれ

脊椎から神経が出てからの部分で末梢神経に圧迫が加わって生じます。病名では、手根管症候群、肘部管症候群、ギヨン管症候群、大腿外側皮神経麻痺、腓骨神経麻痺、足根管症候群、などがあります。

自宅でできるストレッチ

基本的には一度病院に行って、緊急性(手術や入院)の有無をまずは判断してもらって下さい。医師の許可のもとで運動をしてもらう必要があるとお考え下さい。下記の内容はあくまで一例となります。

1.深呼吸

2.わきを伸ばす運動

3.太ももマッサージ

手足の痺れを未然に防ぐ方法

長時間同じ姿勢を避ける

一般的に推奨されるのは30~60分に1回は姿勢を変えることが望ましいです。座っていると痺れる、立っていると痺れる場合、腰やお尻の筋肉が硬くなることによって、痺れが引き起こされるケースがあります。30~60分に一回は姿勢を変えて、背伸びや深呼吸を行いましょう。

ストレスをコントロールする

ストレスによって胸椎と呼ばれる背中の部分が硬くなりやすいことが研究によって明らかにされています。背中が硬くなると、頚や腰に負担がかかってしまい、手足の痺れにつながることが多々あります。深呼吸やウォーキング、自然環境に出かける、友人と話をするなど、うまくストレス発散をして下さい。

炎症を引き起こす飲み物や食べ物を避ける

アルコールや加糖飲料(野菜ジュースやスポーツドリンクを含む)、お菓子やジャンクフードを社会的交流に支障をきたさない程度に控えましょう。砂糖やアルコール、不要な油は身体に炎症を起こします。

炎症を抑える食べ物や飲み物を積極的に摂る

野菜や果物は炎症を抑えてくれるので、食べれるだけ食べましょう。あくまで目安ですが、野菜は両手の平にのるぐらいの量を3つ分、果物は握りこぶし1~3個分です。飲み物は緑茶やコーヒーが非常にオススメです。

症例紹介

40代男性のNさん。右肩~肘、人差し指と中指が痛みに伴って痺れて非常に困っていたということで来院。生活習慣の聞き取りを行うと、毎日の晩酌はもちろんのこと、週末には昼から缶ビールやハイボールを寝るまで飲んでいた様子。また、現状ではバイクの振動や夜間の寝返り時に声を上げるぐらい悪化するとのこと。病院受診を勧めるが、病院には絶対行きたくないという強い主張があり、なんとかしてほしいとのこと。初回は横向きの姿勢以外では症状が悪化するため、就寝時の姿勢を提案した。具体的には現状に合った枕の高さと抱き枕の使用を提案した。また、過度のアルコールが引き金になっているため、痺れや痛みが治まるまではアルコールは厳禁とした。2回目の来院時には症状は半減している様子。胸郭出口症候群に似た症状であったため、原因と疑われる筋肉を特定した。結果、斜角筋に異常な緊張が認められ、症状の再現性も確認できたため、斜角筋を中心にアプローチを行ったところ、随分楽になったとのこと。斜角筋が緊張しやすい原因としては、浅い呼吸が関係していることが多いため、30分に1回は深呼吸を行ってもらうことを提案した。3回目の来院時には深呼吸をすると楽になるということ、アルコールを飲むと悪化するということが分かったため、再度生活習慣の見直しが必要であることを説明し、斜角筋に負担がかからないように、腹筋群へのアプローチを行ったところ、症状はほぼなくなった。その後、アフターケアとしてLINEのやり取りを行ったが、症状の悪化は認められなかったため、一旦卒業とした。

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