腰痛とは
腰痛の概要:腰痛は70~80%の人が経験すると言われており、常に腰痛を抱えている方は40~50%という報告もあります。実際、2019年の厚生労働省の報告では、男性が抱える不調の理由の第1位が腰痛で、女性は第2位とされています。
腰痛の主な原因
原因が特定できるもの
原因が特定できるものは全体の15%と言われており、安静にしていても痛みが緩和されない、楽な姿勢が全くない、発熱している、足に力が入らない、という症状を伴っている場合は、無理をせずに医療機関を受診して下さい。特に、尿漏れや便失禁が伴う場合、放置せず速やかに医療機関を受診して下さい。
腰(脊柱)に由来するもの
先天異常や側弯症、腰椎分離症など主に成長に伴っておこるもの、変形性脊椎症、椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、変性すべり症など主に加齢により生ずるもの、腰椎骨折や脱臼などの外傷、カリエスや化膿性脊椎炎などの感染や炎症によるもの、転移癌などの腫瘍によるものなどがあります。
腰以外に由来するもの
解離性大動脈瘤などの血管の病気、尿管結石などの泌尿器、子宮筋腫や子宮内膜症などの婦人科、胆嚢炎や十二指腸潰瘍などの消化器、変形性股関節症などの腰以外の整形外科の病気によるものもあります。加えて、うつ病、統合失調症などの精神疾患や精神的なストレスによる心理的な原因による場合もあります。
原因が特定できないもの
原因の特定できないものが全体の85%と言われており、筋肉や関節が動きにくいなど、様々な要因が複雑に絡んで、症状の緩和が半年経っても十分でないケースも多々あります。
自宅でできる簡単ストレッチ
1.腸腰筋ストレッチ
- 足を前後に開き、後ろ側の足で膝をつきます
- 両手を前側の足の膝に置き、少しずつ上体を前にスライドさせます
- ゆっくりと元に戻します
- 反対側も同様に行います
- 息を吸いながら、背中を反らしてお尻を突き出します
2.ヨガストレッチ
- 四つん這いの姿勢をとります
- 息を吐きながら、ゆっくりと背中を丸めます
- 四つん這いの姿勢に戻ります
- 1〜4までを5回繰り返します
3.脊柱起立筋ストレッチ
- 椅子に腰掛けて、背筋を伸ばします
- 背筋を伸ばした状態で、ゆっくりと腰を後ろにひねります
- 深呼吸しながら20秒間キープします
- 息を吐きながらゆっくりと戻します
- 反対側も同様に行います
腰痛を未然に防ぐ方法
座りっぱなしをやめる
2023年の最新研究では、同じ姿勢、特に座りっぱなしの姿勢は腰に負担がかかると言われています。30分~60分に1回はイスから立って、トイレに行ったり、お茶を飲んだり、背伸びをしたりしましょう。
十分な睡眠をとる
睡眠時間が不足すると身体の回復が遅れてしまい、腰痛が長引いてしまいます(Krause et al , 2019)。個人差はありますが、7-8.5時間ぐらいは確保して下さい。
バランスの良い食生活をする
2020年の研究では穀物、果物、野菜、豆類を中心とした植物性の食事は、慢性的な筋骨格痛を減少させ、生活の質を向上させると報告しています。
ストレスを溜めないようにする
近年の研究ではストレスが腰痛の原因になるという多数の報告があります。
腰痛の意外?な原因
コーヒーの飲み過ぎで腰痛が悪化しているケースもあります。実際に1997年の研究では、腰痛患者さんはカフェインの摂取量が2倍も多いという報告もしており、腰痛の原因は意外なところに潜んでいる場合もあります。
症例紹介
デスクワークで長時間座ることが多い33歳男性のKさん。日常的に3時間以上連続で座ることなどざらだったそうです。仕事の隙間時間にマッサージや整骨院へ通院するものの、何年も腰痛に悩まされる日々が続きました。奥様の妊娠が分かり、家事や育児を分担していくことが予想されたため、意を決して当院に来院されました。Kさんはお尻の骨である坐骨でしっかりと体重を支えることができず、お尻や太ももの外側に体重をかけていることが多い状況でした。Kさんの場合、体重がかかったお尻や太ももの外側の部分にできた筋肉のコリを緩めることによって、症状はかなりスッキリされました。また、座りすぎが腰痛の原因になることをお伝えし、30~60分に1回は椅子から立って休憩をする方が、仕事の生産性は逆に向上し、腰痛対策になることをお伝えしました。結果的には1回で症状が緩和された状態が継続しているようです(効果効能を保証するものでありません。個人差があります)。
まとめ
以上のように、症状と原因は別の場合が多く、生活習慣の影響も受けます。本当の原因を見つけることができなければ、腰痛は中々改善されません。本当の原因を見つけて、充実した毎日を取り戻したい方は是非当院にご相談下さい。